2025.02.14
ドラゴンボールに登場する多彩なキャラクターたち。一人ひとりが持つ魅力はもちろんのこと、キャラクター同士の関係性が生み出すドラマもまた僕たちファンの心を熱くしてくれます。きっとドラゴンボールファンの皆さんも、キャラクター同士の関係性については一家言あるはず。
そんなキャラクターの関係性について、オフィシャルサイトではこれまで各専門家への取材を通じてじっくり掘り下げてきました。今回はそれらの記事から一部を抜粋し、読みやすくひとつの記事にまとめています。さらにもっと知りたい! と思った方はぜひ抜粋元の記事もご覧ください。
ベジータとトランクスの親子関係を考える上でまずおさえたいのが、ベジータとベジータの父親との関係性です。
ベジータは幼い頃に父親であるベジータ王を亡くしていますが、原作のセリフを読む限り、そのことにショックを受けている様子はあまり見られません。この点について、教育心理学者の赤松大輔先生は 「(ベジータが)父親とは何かを知らずに育った」と指摘。これが、作中のさまざまなシーンで顔をのぞかせる「対人関係の不器用さ」につながったと考察します。
そんななか、ベジータの対人関係に大きな影響を与えたのが妻のブルマです。赤松先生によると、ベジータにとってブルマは「本来感」(自分らしく振る舞える感覚)を与えてくれる存在。行き場のないベジータをブルマが自宅に招くなど、ともに過ごす時間が長かったことで「単純接触効果」が働き、互いに惹かれ合っていったのでは、とのことです。
その後父親になったベジータは息子のトランクスに対して、息子というより一人の戦士として接している印象ですが、セル編の終盤では青年トランクスが倒されて激昂するなど、父親としての愛情をのぞかせる場面も登場します。この変化について赤松先生は、 「精神と時の部屋」で長く一緒の時間を過ごすなかで「父子の愛情」と「師弟の絆」が重なった関係が構築されたと考察します。
舞台は魔人ブウ編に移り、注目したいのがベジータがバビディに自ら洗脳されるシーン。赤松先生はこのシーンを「アイデンティティの揺らぎ(中年の危機)が生じている」と読み解きます。子どもの成長を喜ぶ一方、強さを追い求めるサイヤ人の本能が失われていく。その葛藤がベジータを「自ら洗脳される」という行動に駆り立てたのです。
ただ最終的にベジータは魔人ブウを倒すべく自爆を決意。ちびトランクスに「ブルマを……ママを大切にしろよ……」と告げて散ります。このシーンこそ、 停滞と葛藤の末に今の自分を受け入れ、家族愛を取る決断をした、というベジータの心境変化を表したものと言えるのです。
ドラゴンボールに登場する師弟関係でとりわけ人気が高いのがピッコロと悟飯。かつて悟空と敵対関係にあったピッコロが修業を通じて悟飯と絆を深めていく様子に胸を熱くした人も多いでしょう。
師弟関係というと、師匠が弟子に何かを教え込む、という構図が一般的。しかし、 ピッコロが悟飯にしたことは必ずしも「指導」とは言えない、と指摘するのは発達心理学の専門家・遠藤利彦先生です。たしかに、ピッコロは当初、あえて戦闘のことを教えずに悟飯を放置します。
遠藤先生によると、子どもは生まれたときから何かを学ぼうとする生き物であり、そんな子どもの学びを促す上で大事なのは「大人が子どもの心の支えになる」こと。「指導する」のではなく「支える」という関係性、そして「何かあったら、最後はピッコロさんが助けてくれる」という安心感が悟飯の成長を促したというわけです。
一方で ピッコロも悟飯の「自制心の強さ」と「レジリエンス(プレッシャーを押し戻す力)」を見抜き、あえて放置したと遠藤先生は分析します。
そんなピッコロに対して、悟飯もだんだんと信頼を寄せていきます。作中でも二人の会話をとおして、目に見えないところで関係性が深まっている様子が描かれていました。
修業を通じて成長したのは悟飯だけではありません。遠藤先生によると、精神的に成熟した大人は「自分が獲得したものを、次の世代に伝えていくことに関心や喜びを感じる」ようになり、これを「世代継承性」と呼ぶそう。ピッコロもまた悟飯とのふれあいによって成長していたのです。
ピッコロが悟飯をかばって倒れる印象的なシーンは、まさにそうした二人の関係性と成長を表していると言えるのではないでしょうか。
惑星ベジータの数少ない生き残りとして行動を共にしていたベジータとナッパ。二人の関係はどのようなものだったのでしょうか。
チームワークを研究する村瀬俊朗先生は、二人が「タメ口」で会話している点に着目しつつも、 だからといって対等な立場というわけではなく、むしろ明確な上下関係があると指摘します。
「 ベジータがナッパのカジュアルな表現を許している、という関係なのではないかと思います」(村瀬先生)
村瀬先生によると、表面上の会話スタイルが必ずしも階級を表すわけではなく、ビジネスシーンではフランクに会話していても意思決定権は上司が持っているケースも少なくないそう。実際、作中でもベジータがナッパを怒鳴りつけ、従わせる場面が描かれています。
そのうえで、ベジータとナッパの関係について、村瀬先生は「不良の集まりのようなもの」に近く、「チームビルディングの観点で見るとあまり良い関係とはいえない」と分析します。
なぜこのような関係になったのか。当時のベジータが人間関係を築くのが苦手だったことに加えて、 「(ベジータにとって)ナッパに頼らないとできないこと」がなかったことが原因ではないか、と村瀬先生は考察します。
「ベジータは本作中で、ブルマに『さみしがりや』だと指摘されています。ナッパがもしも、対外的なコミュニケーションによってベジータを支えていれば、あるいは違う結果だったかもしれません」(村瀬先生)
最終的には地球での生活をへて、悟空たちとチームとして共闘するようになったベジータ。とはいえ、村瀬先生は「そんなベジータと最も長く一緒に時間を過ごしてきたのがナッパ」であり、「 ナッパに対しても多少は気を許し、『サイヤ人として自然体でいられる』ような意識があったのかもしれないな、とも思います」と語っています。
悟空の息子・悟天と、ベジータの息子・トランクスは幼い頃から戦いの才能を開花させますが、二人は普段から「対決ゴッコ」をして遊ぶ親友同士として描かれています。
臨床心理学を専門に研究する須藤春佳先生はこの「対決ゴッコ」について、以下のように語っています。
「現代の子どもたちが生きる世界では、学校の授業や課外活動などを通して社会で必要とされる基礎的な力を身に付けますが、それがこの2人にとっては強さを身に付ける『対決ゴッコ』なのでしょうね」(須藤先生)
須藤先生によると、児童期に「自分はできるんだ」という自信を持つことは重要であり、その際ポイントとなるのが仲間の存在。 子どもが仲間から受ける評価は「社会的判定」と呼ばれ、自分を客観的に見るきっかけにもなるのだそう。
また、須藤先生は天下一武道会での悟天に対するトランクスの振る舞いから、児童期の子ども特有のさまざまな心理を読み取ります。
このときトランクスは「左手を使わないハンデ」を自らに課しますが、これは 1歳年下である悟天に対してお兄ちゃんぶりたい気持ちと、戦士としてフェアに戦おうとする姿勢の表れだといいます。
ただ、勝負に負けそうになったトランクスは結局左手を使ってしまい、「年下の悟天とフェアに戦いたいけれど、やっぱり勝ちたい」という「相反する思い」が表れていると語ります。
そんな二人は強敵に対しても「おもしろそーっ」と盛り上がったり、ベジータが死を覚悟する場面でも「そんなことないよ! 強いんだぜオレたち!」と自分たちの強さを過信したりします。須藤先生はここに「ピア(仲間)関係」の結束感を見出します。
作中では青年になったトランクスと悟天の姿も描かれています。特に悟天は恋人をつくるなど青年期相応の異性への関心も見られ、これは 悟天がトランクスとの親友関係において育んだ親密性が基盤にあるのではと須藤先生は指摘します。魔人ブウを倒す過程で二人は絆を育み、親友関係を築いたというわけです。
お互い偉大な父を持ち、同じ気持ちを分かち合える立場の親友がいたことは、二人の人生にとっても大きな意味があったと言えるのかもしれません。
最後に紹介するのは、悟空とベジータの関係です。同じサイヤ人でありながら、生まれ育った環境も、戦いについての考え方もまったく違う二人は、さまざまな出来事を通じて共闘するようになります。
一見すると良きライバルのように思える悟空とベジータですが、心理学者の太田伸幸先生は 「悟空をライバル視しているベジータと違い、悟空はそもそも誰かをライバル視することがなさそうに思える」と指摘します。
だからといって悟空とベジータがライバル関係ではないというわけではなく、太田先生いわく「そもそもライバルは片思いの関係であることが多い」。また、ベジータは悟空と共闘するなかで関係を深めていきますが、太田先生によると「共闘で相手の知らない面を知ったり、強さを認めるきっかけになったりする」ことも多く、二人のライバル関係は現実でも十分にありうるのだそう。
一方で、悟空とベジータの間には大きな隔たりもあります。それが 「競争」に対する考え方。
「ベジータは『悟空に勝つ』が目標ですが、悟空は『競争を通じて自分が強くなる』が目標です。 相手をやっつけるのではなく、やっつけることで自分が強くなりたいのが悟空だと思います」(太田先生)
その上で、太田先生は「ベジータの方がよほど人間くさい」とし「地球で育っていないベジータが人間らしく、地球で育った悟空がサイヤ人らしいのはドラゴンボールの面白い点」とキャラクター設定の魅力についても語っていました。
***
専門家の皆さんに掘り下げていただいた「ドラゴンボールのキャラクターたちの関係性」をそれぞれコンパクトに紹介してきました。
先生方の解説を読んでからもう一度作品を読んだり、観たりすると、あの名シーンの数々がより深く味わえるはずです。
2000年代から趣味のテキストサイトを運営しているうちにいつの間にか書くことが仕事になっていた“テキサイライター”。小学生の頃、ドラゴンボールを1/100に薄めたような漫画を描いていたことがある。
このサイトは機械翻訳を導入しています。わかりにくい表現があるかもしれませんが、ご了承ください。
投稿する
投稿内容確認
上記の内容で投稿しますか?
返信する
返信内容確認
上記の内容で投稿しますか?
本当に削除しますか?
報告完了
投稿エラー
ユーザーをミュートします
ミュートしたユーザーのコメントは
コメント欄に表示されなくなります。
※ミュート解除はMYPAGE内のコメント管理から行えます
返信する
返信内容確認
上記の内容で投稿しますか?
修正する
投稿する
投稿する
投稿内容確認
上記の内容で投稿しますか?
修正する
投稿する