2022.02.10
ドラゴンボールの主要キャラで、鶴仙流の門下生同士でもある天津飯と餃子(チャオズ、餃子の中国語読み)。
彼らは作品屈指の「名コンビ」として知られています。
いきなり突飛なことを言うようですが、それはつまり、天津飯と餃子という二つの料理の「相性の良さ」をも意味してはいないでしょうか。
であれば、二つの料理をフュージョン(合体)させたら、戦闘力が上がる(もっとおいしくなる)のでは……?。
そんな無邪気な仮説を、今回なんと、プロの中華料理人に検証していただけることとなりました。なんという豪華さ!
「フュージョンの使い手」としてお呼びしたのは、ドラゴンボールを愛する中華料理人・田口万里さん。
料理人:田口万里さん
ドラゴンボールと同じ1984年生まれ。中華料理の名店で修業を積み重ね、2014年に地元・埼玉県吉川市に「萬的中華 笑龍」をオープン。得意ジャンルは四川料理と点心。黒いコック服の下に「亀」と書かれたオレンジ色のあのシャツを着用してきた生粋のドラゴンボール好き。
作中ではフュージョンしていない二人ですが、料理の形で一体どんな変身を遂げるのでしょうか!
聞き手・文:玉置標本
亀仙流の修業に影響を受けて、無駄にランドセルを重くして登校した経験あり。ドラゴンボールで一番興奮したのはアラレちゃんが登場した回。
※取材・撮影は新型コロナウイルス感染対策を講じた上で、2021年12月に実施しました
今回はドラゴンボールファン冥利に尽きるお題をありがとうございます。見た目のインパクトには逃げず、純粋においしさ(戦闘力)だけを追求したフュージョンを考えてきました。料理人修業の成果をここで発揮します!
※田口さんには事前にフュージョン料理のレシピを考えていただきました
これから天下一武道会に出場するのかというくらい気合十分の田口さんですが、一体どんな料理を披露していただけるのでしょうか。
ズバリ「鶴仙飯」です。
作中のネーミングルールにならうと、天餃飯(てんちゃおはん)か餃津飯(ちゃおしんはん)という料理名になりそうですが……。
たしかにそうですが、鶴仙人の元で修業した二人のフュージョンなので、ここは鶴仙人へのリスペクトを込め、あえてルールを逸脱してみました。
なるほど。「鶴仙飯」とはどんな料理なのでしょう?
天津飯の要素を加えた特製餃子です。天津飯の「ご飯を卵で包む」という特徴を餃子の皮で再現してみました。
説明するより食べていただくほうが分かりやすいと思うので、早速作っていきますね!
大きく餡、皮、タネの3つのパーツから構成されている! 詳しいレシピは記事末へ
お、ご飯がないですね? 天津飯の具材のカニカマと卵を除くと、餃子の材料にしか見えませんが……。
いろいろと試行錯誤したのですが、今回は味のバランスを考えて餃子寄りのレシピにしています。
もちろん、天津飯も忘れたわけではありませんよ。皮にちょっとした秘密がありまして、薄力粉に卵と塩とラードを混ぜて作った生地と、上新粉(米粉)を水で練った生地をドッキングしているんです。
上が卵の生地、下がお米の生地(田口さん提供)
たしかに、生地の色が普通の餃子より黄色い。天津飯の卵とご飯が、皮の時点で融合されているわけですね。
タネと皮は作業性と味を考えて前日に仕込み、寝かせてある
そうですね。天津飯といえば卵とご飯の存在感。皮をかんだ瞬間に、まずはそれがしっかり感じられる仕上がりにしたかったんです。
伸ばした生地を切って
タネにも秘密が?
広げてタネを包んでいく。目を凝らすとタネの中にご飯が見える
はい。タネにもご飯をドッキングしたかったので、蒸したもち米を加えています。もち米は普通のお米よりもモチモチ感があるので、少量でも存在感があるんですよ。
タネを包んだ状態。左は一般的な餃子
これを焼いたら出来上がりですか。たしかに、天津飯の要素は残っているものの、やはり餃子寄りのフュージョンですね。バランスが悪いような……。
波!!!!! まだ料理の途中です。これを蒸し器で蒸し、さらに油で揚げます。
まさかの蒸し・揚げ餃子! 掛けている手間がすごい! でもやっぱりちょっと餃子寄りの……。
波!!!!!!! まだ料理の途中ですってば。ここで具と溶き卵入りの餡を作って……。
お皿に盛り付けた揚げ餃子の上から、豪快に掛けていきます。
これでようやく鶴仙飯の完成です!
最後の追い込みがすごかった! そして餡が掛かると、見た目がおいしそうに「パワーアップ」しますね。
早速鶴仙飯を食べたい……のですが、ここは企画の趣旨にのっとり、フュージョン前の料理も食べて「戦闘力(おいしさ)」を比較したいと思います。今回、田口さんには普通の天津飯と餃子も並行して作っていただきました。
天津飯って賄いくらいでしか作ったことがなかったから、昨日慌てて練習しましたよ。試作品を久しぶりに食べましたが、案外いいものですね。店でも出そうかな。
ちなみに、卵焼きを乗せた麺料理なら中国各地にあるのですが、ご飯に乗せて餡を掛けるという丼のようなスタイルは日本発祥のようです。
中国が舞台の西遊記をモチーフの一つとしてドラゴンボールが生まれたように、天津飯も中華料理をベースに日本で独自に生まれた創作料理なのですね。ちなみに私は天津飯という料理の存在をドラゴンボールで知りました。
うん、おいしい。絶妙な味付けの餡、ふんわり香ばしく焼かれた卵焼き、それを受け止める白いご飯、この三位一体の力強さたるや。卵焼きの具が、天津飯の技の多さを表しているようです。
ありがとうございます! 餃子もぜひ。
タネをたっぷりと入れたヒダの小さい包み方が独特ですね。どことなく餃子(チャオズ)っぽい見た目!
この形だとヒダが主張し過ぎないので、皮とタネに一体感が生まれる上、ぷっくりと丸いから大きく口を開けて食べることになる。すると食べた時の満足感がアップするんですよ。
あふぃい、かむとあふれだす大量の肉汁がすごい。小籠包かと思いました。皮の焼き目はカリカリ、その他はモチモチという二段構え。焼き餃子でありながら、こちらも揚げ餃子と蒸し餃子の良いところを併せ持つ完璧な仕上がりですね!
ありがとうございます。ちなみに僕が作る小籠包は肉汁の量がこの3倍くらいあります。
肉汁3倍界王拳!
最後にいよいよ、二つをフュージョンさせた鶴仙飯をいただきます。フュージョンは、ドラゴンボールでも料理でも、失敗すれば戦闘力(おいしさ)が半減してしまうハイリスクな技。単体でこれだけうまいのだから、タッグを組ませて「セット」で食べれば十分なのではという気もしますが、果たしてこの味を超えられるのか……。
心して味わわせていただきますね。
どうぞ!
うおおおおお! これはすごい。餃子が持つ無限の可能性と戦闘力が、天津飯の卵と餡とご飯の包容力で優しく包み込まれている。
まず皮の部分は、薄力粉と卵だけの生地だと卵のコクは感じられるものの、卵に火を入れた時にモソっとした食感が出てしまう。でも、ここに上新粉の生地を加えることで滑らかさがプラスされます。
そして、蒸しただけだと表面がツルっとしてしまい餡の絡みが悪くなるので、餡が絡みやすいよう、軽く揚げて表面をあえてザラっとさせました。
タネの部分も、もち米が入ると印象が大きく変わってきますね。普通の餃子と違い、ミッチリと詰まった食感でご飯を食べていることが伝わります。
餃子の肉汁をもち米がすべて受け止めて、餃子とも天津飯とも違った満足感のある食べ応えになっていると思います。
お見事です。天津飯や餃子と異なる新しい個性という意味では、ネーミングからも味からも、のちに袂を分かつこととなる師匠・鶴仙人へのリスペクトが感じられます。厳しい修業によって戦闘力を上げた餃子に、天津飯が優しく寄り添う姿を脳裏で想像してしまいました。
天津飯と餃子をプロの手で融合させたら、パワーアップを軽く超越して、もうまったく知らない新しい料理になりました……。田口さん、ごちそうさまでした!
天津飯でも餃子でもない、未知の風味と食感にたどり着くまでの過程を、ぜひ聞かせてください。
オファーをいただいた時は、正直、無茶ぶりだなとは思いました(笑)。でもドラゴンボール好きの料理人としては挑戦せざるを得ないテーマだったこともたしか。
とはいえ、完成までにずいぶん試行錯誤を重ねられたのではないでしょうか。天津飯をメインにするか、それとも餃子をメインにするか、見た目も味もいろいろな方向性が考えられますよね。
そうですね。おっしゃる通り、料理の方向性がいくらでもあったので、まず方向性を決めるのに時間が掛かりました。
それに、フュージョンと言うからには、どちらの良さも生かさないといけないし、新しいおいしさを作らなければ意味がない。ここ数年で一番頭を働かせたかもしれません。
完成までの間にボツにしたアイデアがあれば、お伺いしてもよいでしょうか?
手羽先餃子で天津飯の腕を4本にする、餃子に毛を1本生やすといった「ヴィジュアル系」も考えましたが、フュージョンなので双方が組み合わさって「パワーアップ」していることが大事だな、と思い直し、やっぱり味を重視することに決めました。
製作途中の写真。ここからさらに改良を重ねた(田口さん提供)
最終的に出来上がったのは、これまでまったく作ったことのない料理です。蒸してから揚げた餃子に餡を掛けちゃうとか、いつものように料理を作っていたら絶対思いつかないですからね。
苦心の末に完成した鶴仙飯、ぜひお店でも食べてみたいです。
考えておきます(笑)。
せっかくなので、作品に対する田口さんご自身の思い入れも最後に伺いたいのですが、田口さんはドラゴンボールのどんなところが好きなのでしょう?
ちゃんと修業をして強くなってから、強敵を倒していくところです。強くなるための努力や試行錯誤が分かるから、キャラクターに感情移入しやすいんですよね。
ドラゴンボールを読んで育ったからこそ、厳しい料理人の修業を乗り越えられたといっても過言ではありません。今回の無茶過ぎる挑戦も、一人の料理人としてとてもよい修業になりました。オッス!
ところでこれは余談ですが、もしドラゴンボールを七つ集めたら、神龍にどんな願いを叶えてもらいたいですか?
今はちょっと思いつかないですが、20代の頃だったら、どの店で何を学んでいけば自分が求める理想の料理人になれるか、その「正解」を神龍に教えてほしいと本気で考えていました。
真面目!
ということで、フュージョンは見事成功となりました。
ただ正直なところ、普通の餃子も天津飯もすごくおいしかったので、フュージョンによって味の「戦闘力」がアップしたというよりも、新たに頼もしい仲間(料理)がまた一人(一皿)加わったというところでしょうか。次はフリーザ軍のスペシャルパフェをお願いします!
生地1
・薄力粉…160グラム
・卵…全卵大さじ1、黄身3個
・塩…ひとつまみ
・ラード…小さじ1
生地2
・上新粉…40グラム
・水…36グラム
タネ
・豚挽肉…150グラム
・背脂…15グラム
・ニラ…20グラム
・キャベツ…80グラム
・ニンニク…1かけ
・もち米(蒸しておく)…150グラム
・塩…小さじ1
・うま味調味料…小さじ1/2
・胡椒…少々
・葱油(ネギを揚げて香りを移した油)…大さじ1
・酒…大さじ2
餡
・スープ…240cc
・醤油…大さじ1
・うま味調味料…少々
・胡椒…少々
・卵…大さじ2
・片栗粉…大さじ1
・胡麻油…少々
作り方
1:生地1と生地2をそれぞれよく捏ねて、合わせてさらに捏ねて、ラップをしてしばらく寝かせる。
2:タネの材料をよく混ぜる。
3:1の生地を麺棒で丸く伸ばし、2のタネを包む。
4:3を蒸し器で6分蒸してから、180度の油で1分揚げて、皿に並べておく。
5:餡のスープ、醤油、うま味調味料を入れて沸かし、片栗粉を同量の水で溶かして加えて、溶き卵と胡麻油を入れて4に掛ける。
ドラゴンボールゲームスバトルアワー2022では、「KAKAROTクッキング」と題し、中華料理の巨匠がドラゴンボール Z KAKAROTに登場する料理作りに挑戦。みんなでいざ実食!
ドラゴンボールゲームスバトルアワー2022は2月19~20日に開催! 詳細は公式サイトをチェック。
撮影:小野奈那子
監修:アイチー(愛吃)
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