2021.10.06
アプリゲーム「ドラゴンボール レジェンズ」に、「大猿ベジータ」がLEGENDS LIMITEDキャラクターとして初登場!大猿ベジータの登場を記念して、ベジータが着ている戦闘服について繊維科学の専門家に聞いてみたぞ!大猿化にも耐えられるほどの伸縮性をもつ戦闘服は、実際に作ることができるのだろうか?
前編はこちら
――前回は、よく伸びる素材として「ポリウレタン」が適しているのでは、というところまで話が進みましたね。ただ、伸縮性はあるけれど、大猿化したら戦闘服が薄くなってスケスケになってしまうという大問題も発覚しました……。
よく伸びるけれど「透けない」戦闘服でなければいけませんからね。実際に着用できそうか、生地の厚みを計算してみましょう。大人用の服の平均的な生地面積を参考に、大猿化した際の服の面積を考えてみます。ちなみに、ここでは衣服の全体の重さは変わらず、衣服が巨大化しても使われている材料の量は変わらないことを前提に考察をしていきます(質量保存則)。
【参考】大人用の服の平均的な生地面積:パンツ2㎡ + 上着2㎡程度 = 合計4㎡
大猿時の身長を元の身長の4倍とすると、服の面積は4✕4 = 16倍になるので64㎡。大猿時の生地の面密度(面積あたりの重さ)を0.5kg/㎡とすると、32㎏。この重さの戦闘服を、通常時も着用していなければいけないことになります。まあ、ベジータのような鍛え上げた体なら大丈夫でしょうね。
次に、生地の厚みです。大猿時にスケスケにならないために必要な生地の厚さを1mmとすると、(同じ密度なら)通常時の生地の厚さは16mmです。これは現実的に装備可能だと思います。
――よく伸びる生地と「スケスケ問題」は、切っても切れない関係なんですね。
繊維を伸ばすことによって糸の太さが細くなり、普通の布が網のようになってスケスケになってしまうことも考えられます。これを防止するには、伸ばしても太さが変わらない繊維、あるいは伸ばしたら逆に太くなるような繊維を作る必要があります。
伸ばすと太くなる繊維のことを、専門的には「オーゼティック(AUXETIC)繊維」などと呼びます。20年以上前から研究が盛んに行われていて、実際に開発されたものもあるんですよ。
――オーゼティック繊維……格好いい響き!
ただし、伸ばすことにより体積が大きくなり、繊維自体の密度が下がるので、繊維自身の性質として光が抜けやすい。つまり、またまた透けやすくなってしまう心配があります。これに対し、繊維状物を絡みあわせて、光の波長(0.5ミクロンくらい)より少し大きいくらいのすき間を作ると、光の散乱が起こり不透明にすることができます。
――なんだか難しいですが、不透明にできるということは、いよいよ透けない戦闘服の完成ですか?
不透明にはできるんですが……水に濡れると、すき間を水が埋めてしまうので、やっぱり透けやすくなるのが弱点です。
――水辺の多いナメック星で闘ったら、あっという間に戦闘服が透けてしまいそうですね。
――透けない戦闘服を作るのって、とても難しいんですね〜!
いっそのこと、繊維を織ったり編んだりするのをやめて、この伸縮率の高いポリウレタンなどを溶かして拡げ、ゼリー状のフィルムにして服を作るという方法も考えられますね。
ゼリー状の物質は専門用語で「ゲル」と呼ばれますが、よく伸びるゲルを作る研究もいろいろな研究室で行われています。できあがったフィルムそのものを、ポリウレタン繊維と同等の伸縮率を持つ生地として使うことができますよ。
――ゼリー状の物質でできた戦闘服!織物でも編物でもない服なら、透ける心配はありませんね。
もしゲルを使って服を作った場合、別の問題が生じてきます。ゲルやフィルムは繊維を使った生地と違ってすき間がなく、汗や蒸れを外に逃がすことができないんです。
これでは戦闘中に不快ですから、フィルムの表面にミクロンサイズの穴を開けておく、あるいはまさしくゼリーのようにフィルムそのものが汗を吸い込んで、服の外に向かって放出する、といった工夫を施すことが必要になるでしょうね。
――現時点で、あの戦闘服に一番近い素材は何でしょうか?
2001年に全く新しい素材「ポリロタキサン」が発表されました。このポリロタキサン分子を使って繊維を作ると、ほとんど伸びない綿のような繊維の伸び率を5倍近くにも増やすことが明らかにされています。(*1)
さらに、このポリロタキサンは伸びれば伸びるほど強度が強くなることが研究で判明しています。(*2)つまり、前回お話したポリウレタン繊維にこのポリロタキサンを混ぜて繊維にすることで、いくらでも伸びて強度もアップし、なおかつ破れない……究極の戦闘服が作れるかもしれません。
――すごい!ストレッチ性や強度に加えて、長時間着ていても疲れなかったり、汗臭くなるのを防いだりすることはできるんでしょうか?
ストレッチ性も抗菌性も持つ繊維、長時間着ていてもストレスを感じない繊維、汚れを弾く加工など、いろいろな高機能繊維で作った服はすでにたくさん実用化されています。それを超えるような繊維や生地というと……
一つには、ナノテクノロジーを活用して、1ミクロンより小さい「ナノサイズ」の板を重ねたうろこ状の構造を作れたら、伸縮性の高い生地で、透湿性を保ちつつ、防御性能のある服が作れるかもしれません。見た目には普通の素材と変わらないのに、伸縮して防御性能も出るかもしれませんよ。
あるいは、映画「ターミネーター2」に出てきたような液体金属、液状の高分子みたいなもので服を作るのもいいですね。そうするとドローンに3Dプリンタを搭載し、スプレーして服を成形する、なんてこともできるかもしれません。
ただし、液体ですと身体のラインがはっきり見るので、おじさん体型だとお腹が目立ってかなり恥ずかしいですが……ベジータなら筋骨隆々なので問題ないと思います。
――スプレーされて服ができあがるなんて、SFの世界ですね!実現したら着てみたいなあ。
先ほど紹介した「オーゼティック(AUXETIC)」な性質を持つ材料は、3Dプリンタで作ることができます。3Dプリンタで衣服を作ることを考えると、液体金属・液体高分子の衣服化も含めて、ユニークな性質をもつまったく新しい衣服ができるかもしれません。実際にいろいろな研究が行われていますから、大猿化しても破けないような服も、いつか実現するかもしれませんね。
(*1) Araki, J. et al. Polymer 2006, 47, 8241–8246.
(*2) Liu, C. et al. Science 2021, 372, 1078–1081.
監修:
荒木潤さん(信州大学繊維学部教授/専門:天然繊維・天然高分子)
取材協力:
鞠谷雄士さん(東京工業大学教授・元繊維学会会長/専門:紡糸工学・繊維の構造と物性)
宝田亘さん(東京工業大学助教/専門:高分子成形加工)
松葉豪さん(山形大学教授/専門:高分子の構造と物性)
濱田仁美さん(東京家政大学教授/専門:被服材料学)
高寺政行さん(信州大学繊維学部教授/専門:繊維工学・衣服工学)
金井博幸さん(信州大学繊維学部准教授/専門:繊維感性情報学)
堀場洋輔さん(信州大学繊維学部准教授/専門:感性工学・被服生理学)
アプリゲーム「ドラゴンボール レジェンズ」にLEGENDS LIMITED「ベジータ」が堂々参戦!!
LEGENDS LIMITED「ベジータ」は、LEGENDARY FINISHでサイヤ人の特色の1つである大猿になるぞ 超ド迫力の演出は圧巻なので大注目。
開催期間 2021/09/15 15:00 ~ 2021/10/26 15:00(JST)
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