2025.02.28
ペルーという国がある。南米に位置し、古くはインカ帝国の中心地であり、マチュピチュやナスカの地上絵など有名な観光地も存在する。日系人のアルベルト・フジモリが大統領を務めたことでも知られる。
そんな日本とつながりの深いペルーで、ドラゴンボールが人気を集めているという。日本でも人気だけれど、日本のほぼ裏側のペルーでも大人気。どれくらい人気なのか、なぜ人気なのか。それを探るべく、在日ペルー大使館に突撃取材を試みた。
この記事を書いている地主です!
私はペルーに行ったことがあるのだけれど、その時に「ここは日本かな?」と感じる出来事があった。ドラゴンボールに関するおもちゃはもちろん、悟空やピッコロなどのタトゥーを入れている人をよく見かけたのだ。どうやらペルーでのドラゴンボール人気はホンモノらしい……。
ということで、在日ペルー大使館にやってきました!
今回お話をお伺いしたのは、一等書記官のフリオ・テノリオさん。2024年4月に日本に赴任してきたばかりと日本在住歴は浅いものの、ドラゴンボールへの愛は30年以上作品を観ているペルー人と一緒だという。
フリオ・テノリオさん。1986年生まれ。在日ペルー大使館 一等書記官。幼い頃よりドラゴンボールに慣れ親しみ、これまで放送・放映されたアニメ、映画作品のすべてを鑑賞してきたそう。今は2024年10月に放送が始まったアニメ『ドラゴンボールDAIMA』を観ている。
※インタビューはスペイン語と日本語の同時通訳形式で実施しました
本日は取材のお時間をいただきありがとうございます。単刀直入に、そもそもペルーでドラゴンボールは人気なんですか?
ええ、もちろん。ドラゴンボールはアニメの放送が(ペルーで)90年代に始まってから現在に至るまでのおよそ30年、ペルーの子供たちと一緒に成長してきたようなものです。ペルーの人たちは、『ドラゴンボール』から『ドラゴンボールDAIMA』まで、おそらくどのアニメ作品も観ているのではないでしょうか。
すごい。なぜペルーでドラゴンボールがそこまで人気なんでしょうか?
やはりテレビアニメの影響でしょうね。記憶をたどると、1996年頃は月曜日から金曜日まで毎日放送されていたような気がします。
毎日! 日本のように週一回ではなく?
そうですね、毎日。日本だと(『ドラゴンボール』は)1986年に放送が始まっているのですが、ペルーで始まったのはそこから10年遅れの1996年。当時日本ではすでに(後続番組の)『ドラゴンボールZ』も放送終了していたので、単純計算で400話以上の未放送のストーリーがたまっていたわけですよね(笑)。あくまで推測ですが、たくさんエピソードがあったので毎日放送できたのではないかと思います。また、ペルーでは月曜日から金曜日の放送が一般的でした。
私自身は「5チャンネル」で観ていたのですが、悟空と桃白白のバトルを描いたエピソードまで進んだ頃、翻訳が追いつかなくなったのか一度放送が終わって、また1話から再び放送が始まった、なんてこともありました。
まさに怒涛のペースだ。そのエピソードを聞く限り、単純にドラゴンボールと接する回数は日本の人よりペルーの人のほうが多いかもしれませんね。フリオさんはもちろん、ペルーの人はみんなアニメを観ていたわけですよね?
そうですね。小学生の頃は学校帰りにアニメを観るのが楽しみでした。
学校でも友達とドラゴンボールの話をしたりするのですか?
もちろん! 学校では前日の放送内容について話したり、当時ドラゴンボールのカードも売られていたので、そのコレクションを見せあったりしていました。
日本と一緒だ!
そうですね。「かめはめ波」のごっこ遊びも流行りましたよ。「魔貫光殺砲」のポーズも子供たちの間で人気でしたね。
たしか人差し指と中指を立てて……とポーズまで丁寧に解説してくださったフリオさん
ペルーの人たちがドラゴンボールのアニメに親しんでいたことが分かりました。でも、どうしてペルーでドラゴンボールという作品が受け入れられたんでしょう?
キャラクターの成長とともにストーリーが進んでいくところ、またバトルシーンのアクション性が高いところや、子供にポジティブなメッセージを伝えられるところなど、さまざまな要素が絡み合って受け入れられたのだと思いますね。
あと、当時はまだ「テレビでどんなシーンを放送していいか」というルールも緩かったので、一時「ペルーでドラゴンボールのようなアニメを放送していいのか」と議論になったこともあるんです。その出来事がきっかけで、子供がより興味を持ったという印象はあります。
ペルーの人にとってちょっと過激だったってことですかね?
バトルのシーンでは、血も流れるでしょう。あと、死が描かれているところもインパクトが大きかったように思います。自分も、ラディッツとの戦いで悟空が亡くなるシーンはよく覚えています。ペルーでは「主人公が亡くなる」という展開の作品が非常に少なかったので、とても新鮮でした。
そういえば、ペルーでは自分の子供にドラゴンボールキャラクターの名前をそのまま付ける文化がある、と聞いたのですが?
そうですね、ペルーでは自由に自分の子供に好きな名前を付けられます。だから、有名人の名前を付ける人もいます。ドラゴンボールキャラクターの名前を子供に付けるのは、作品への愛を示したいからではないでしょうか。
なるほど、ドラゴンボール愛。
この件が以前日本でニュースになった時には、悟飯(ゴハン)という名前の人が292人、ビーデルが92人、ジレンが81人いました。ジレンは比較的新しいキャラクターなのにすごく人気ですね。
子供に悟飯と名付けるのは「自分が悟空になりたい」という親の願いのあらわれなんでしょうか?
(笑)。その要素も少しはあるかもしれませんね! 今の親世代は子供の頃アニメを観ながら悟飯と一緒に成長してきたので、悟飯という名前に愛着があるのかもしれません。また、悟飯は文武の才能にあふれているでしょう。なので、自分の子供にもそう育ってほしいという願いが込められているのかもしれませんね。
いい話だ。でも、今ふと思ったのですが、悟空(ゴクウ)という名前はランキング外なんですね?
数か月前にニュースを見た時は、悟空という名前の人も7人ほどいましたよ。
やっぱり悟空も一定の人気があるんですね。
そんなフリオさんの一番好きなキャラクターも悟空。でも、「セル編と魔人ブウ編での面白さや鳥山明先生の気持ちが表れているような気がする」という理由からミスター・サタンも好きだそう
名前の話が出たついでにお伺いしたいのですが、キャラクターの名前がペルーの言葉だと別の意味を持つ、ということはないのでしょうか? 例えば、ピッコロがイタリア語で「小さい」を意味するように。
悟空の奥さんの名前「チチ」は、ペルーおよびラテンアメリカのスペイン語で女性の胸を表す単語(chichi)なので、ラテンアメリカ版の『ドラゴンボール』では子供に配慮して「MILK」と変更されていますよ。
「チチ」=乳なんですね。日本語と同じです!
そうだったんですね! 自分も驚きました。でもよく考えると、ペルーは日本人を含む移民が多い国です。彼らのしゃべる言葉が自然と土地に馴染んだのかもしれませんね。そういえば「じゃんけん」も、ペルーの多くの地域では「じゃんけんぽん」で通じます(一部の地域では「Piedra(石)・Tijera(ハサミ)・Papel(紙)」と言う)。
今回お話を伺って、フリオさんを含むペルーの人たちのドラゴンボール愛がしっかり伝わりました。
最後に私のエピソードを紹介させてください。数年前、足を骨折してしまったことがあるんです。ちょうど『ドラゴンボール超 ブロリー』がペルーでも公開されたタイミングだったのですが、映画館の足が伸ばせる席を買って観ました。あの時から『ドラゴンボール』を観ていたので、今このようにインタビューの機会をいただけているのだと思います(笑)。
もう、どんだけ好きなんだ!
19世紀からつながりのある日本とペルーは、2023年に外交関係樹立150周年 を迎えた。ペルーはめちゃくちゃ友好的に接してくれる人が多く、また行きたい国だ。それにドラゴンボールという共通の話題があるので、仲良くもなりやすい。
ちなみにペルーには「チチカカ湖」という大きな湖があるけれど、この「チチ」は正しくは「ティティ」と発音するらしく、チチとは関係ないそうだ。
フリオさん、ありがとうございました!
写真:関口佳代
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