2023年に開催された結成16年以上の芸人たちによる賞レース『THE SECOND』でファイナリストに残るなど、漫才師として活躍するお笑いコンビ・囲碁将棋。

高校の同級生同士である文田大介さん、根建太一さんは小学生のころにアニメ版『ドラゴンボール』の放送がスタートした、まさに「ドラゴンボール世代」。「俺ら全員一回は、シャンプーで悟空の髪型しましたよ」と、懐かしそうに当時を振り返ります。

お笑いラジオアプリGERAで放送中の冠番組『囲碁将棋の情熱スリーポイント』でも、たびたびドラゴンボールの話題が止まらなくなるお二人に、大人になった今でも薄れない作品の魅力を情熱たっぷりに語っていただきました。

目標

・「ドラゴンボール3年やんないらしい……」ショックすぎた天下一武道会編
・ ヤムチャにもらった「ジャンルを変える勇気」
・ 親父の愛したキャラクター
・ 「俺って筋斗雲に乗れるのかな」

「ドラゴンボール3年やんないらしい……」ショックすぎた天下一武道会編

ーーお二人は、80年生まれと81年生まれだと伺いました。ちょうど、小学校に入った頃にアニメがはじまった世代です。ドラゴンボールとの最初の出会いは何か覚えていますか？

文田大介（以下、文田）：歳の離れた従兄弟の家に、ジャンプとか漫画がいっぱい置いてあって、それを読んでましたね。

あと当時は『Dr.スランプ アラレちゃん』のアニメがめっちゃ流行ったのを覚えてて、そのままドラゴンボールのアニメも見始めたイメージですね。

根建太一（以下、根建）：すごい覚えてるのが、アニメでピッコロ大魔王を倒したあとに3年後の話をするじゃないすか。当時は小学生とかで、その意味がわからなくて。

本当にドラゴンボールが3年やらないんだと思って、「マジかよ！！」ってショックを受けました。母ちゃんに「なんかドラゴンボール3年やんないらしい」って言いに行った覚えがあります。

ーーじゃあ、1週間後に普通に放送されたときの喜びは。

根建：いやもう半端じゃないっすよ！ なんか悟空も大きくなってるし。でもあれも新しかったですよね、アニメのなかで主人公があんな一気にでっかくなるのって

ヤムチャにもらった「ジャンルを変える勇気」

ーードラゴンボール世代ど真ん中のお二人ですが、当時観ていて好きだったエピソードなどはありますか？

文田：やっぱりフリーザ編は絶望的でしたよね。前半はナメック星に「悟空が来る」って言いながら全然来ないし、後半もずっとメディカルマシーンに入って回復してて。

なんで誰も仙豆持ってきてねえんだよって思ってました。しかもなんか、「ヤジロベーが全部くっちまった」みたいなサブストーリーとかもあって。

ーーどこか、登場人物たちへの「ツッコミどころ」みたいなものを見つけて楽しんでるんですね。

文田：ヤジロベーのせいでみんなめっちゃ苦労してんじゃんって思ってましたね。

根建：あとは変身するたびに強くなるのとか、子どもながらにショックでしたよね。楽しめたっていうより、俺は腹立ってました。

ーーそれは、フリーザに対して？

根建：そうです。フリーザが怖すぎた。何回変身すんだよって。俺たちの悟空をあんまいじめないでくれよって。

根建：あと一番ショックだったのが、ヤムチャが天津飯に足折られるところ。子どもながらにショックすぎて、自分はこれだけはやられないようにしようと思ってましたね。

だってあれ以上に痛そうな描写なくないすか？ 格闘とかかめはめ波は見ててすげー！って思うけど、あれはめっちゃ痛そう。

文田：次回タイトルが「ヤムチャ敗れる！！」で結果がわかっちゃうやつね。

文田：ヤムチャってかわいそうなとこもあるけど、実際ドラゴンボールの世界だとヤムチャが一番有名なんだと思うんですよね。野球選手として。

『ドラゴンボールZ』でヤムチャがプロ野球選手としてゲームに出場してる回があって、3打席連続ホームランとか打ってめちゃくちゃ活躍してるから。

根建：ええ？

文田：天下一武道会の賞金って50万ゼニー（※）じゃないですか。1ゼニー1.5円だから、優勝しても75万円くらいで。ヤムチャがもし1億円プレーヤーになってたら全然そっちの方が稼いでるんですよ。

※第25回大会では優勝賞金1000万ゼニー

ーーたしかに、良い年俸になってそうですね。

文田：でも、現実にはヤムチャっていっぱいいると思うんすよね。

根建：確かに、悟空みたいな人は少ないもんね。

文田： もしも自分が「俺ってヤムチャだな」と思っても、別のところにいけば活躍できるかもしれない。だから思い切って違うジャンルに行く勇気を、ヤムチャからもらいましたね。

親父の愛したキャラクター

ーーお二人は、特に好きだったキャラクターはいますか？

根建：これは俺の話じゃないんですけど……うちの親父が「チャパ王」がめっちゃ好きで。

初期しか出てないのに、後半になっても親父が「今日はチャパ王出ないのか」とか言ってきて。

ーーなんで好きだったんですかね？

根建：なんでだろう、見た目とかですかね？

文田：そういえば、チャパ王との闘いで悟空が見たことない技出してて。大きく息を吐いた勢いで、チャパ王の攻撃を避けてた。肺活量でそんなことできるんだって思いましたね。

ーーよく覚えてますね、細かい技まで。

文田：あとあれも一回しか見てない。ベジータを埋めるときに目でキッと地面見たらドンッって地面に穴開くやつ。

根建：あれ技なの？

ーー文田さんは、お好きなキャラクターはいますか？

文田：俺はやっぱりクリリンですかね。子どもに「お父さん地球人で一番強いんだよ」って言えるし。

根建：亀仙流の中で舞空術を最初に使ったのもクリリンでしたよね。

文田：舞空術の話だと、悟空が蛇の道走ってるとき、最初は舞空術で行くけど後から「舞空術でよけいな体力を……！！」とか言って走ってたじゃないですか。あれ見て「舞空術って疲れるんだ」と思って。

そしたら天下一武道会のとき、天津飯と餃子 （チャオズ）が舞空術で浮いて、高いところから試合を見てたのを思い出したんです。じゃああれ、かましてたんじゃんとは思いましたね。疲れるのに舞空術で見てたんだって。

ーーそういう、印象に残ってる、覚えているシーンって他にもありますか？

文田：悟飯の片手かめはめ波とか好きですね。あと、天津飯の片手気功砲がめっちゃ好きだったんですよ。かっこよくて、よく真似してましたね。

根建：あと『ドラゴンボールZ 復活の「F」』のときにフリーザがお花畑に吊るされてるシーンがあって。それを見て、フリーザが一番嫌な場所（地獄）ってお花畑なんだってびっくりしたんですよ。

ーーフリーザの内面というか、考えていることって見る機会がなかったですもんね。

根建：そうなんすよ！ だからめっちゃ印象に残ってる。そっからマキシマム ザ ホルモンの『F』が流れるのもめっちゃ興奮しましたね。

「俺って筋斗雲に乗れんのかな？」

ーー悟空たちがさまざまな闘いに挑むように、お二人も芸人として勝負のときがあると思います。そういうときに思い出すような名シーンやセリフはありますか？

文田：ドラゴンボールのアニメは、天下一武道会のときだけ、タイトルコールが変わるんです。天下一武道会の「武」の文字が画面いっぱいに出てきて。あれがかっこよくて思い出します。

根建：めっちゃベタですけど、やっぱ悟空が超サイヤ人になるところ。思い出しただけでもテンション上がります。

悟空って超サイヤ人になったときだけ、一人称「オレ」になるんすよね。いつも「オラ」なのに。あれはどっかで真似したいですね。

ーーやっぱり、「あれ真似したい」とか「あれやばかったよね」とか、友達と一緒にはしゃげる楽しさがドラゴンボールにはありますよね。

根建：あと、小さい頃からずっと「俺って筋斗雲乗れんのかな？」って考えてました。

筋斗雲に乗ることができる条件に「清い心」みたいなのがあるじゃないですか。人生の中のいろんな場面で「今これやったら筋斗雲乗れないんじゃないかな」とか考えることがあります。

ーーしっかりと、人としての生き方にまで影響を受けてますね。

根建：結局、地球の人たちはミスター・サタンしか知らないっていうのが、かっこいいと思いますね。あんなに闘っているのに、みんなあまり知られていない。

文田：いや、ヤムチャは野球で有名だし稼いでるから。

根建：ヤムチャは有名なんだろうけど！

取材・文：乾隼人
写真：土田 凌