これまでに制作された立像は、約2.4メートルの巨大ブロリーや、5体セットでポーズを決めるギニュー特戦隊など、素晴らしいものばかり！　記事冒頭に掲載した「Comic-Con @ Home2021」「ジャンプフェスタ2023」の立像も、ジンクラフトさんの作品です。

これらの立像は、「FRP」という素材で制作されています。樹脂にガラス繊維を張り込んでいるので、落としてもそうそう割れないくらい頑丈！　塗装は経年劣化していきますが、メンテナンスをすれば何年も使える優秀な素材です。

「ジャンプフェスタ2023」で、悟飯＆ピッコロの立像とともに展示されていたピッコロの家の制作も担当されていたとのこと！　こちらはFRPではなく、発泡スチロールに樹脂を塗る方法で制作されています。大きいものの制作の方が大変そうに感じますが、小さいものは塗料の厚みに影響されやすく、高いマスキング技術が必要になるなどの苦労もあるそうです。

このように、様々な種類の立像を制作されているジンクラフトさんの、ゴクウブラック・ジレン・ヒット制作の模様をお届け！

最初の重要ポイント！　キャラクター研究!!

今回は、すでに制作されていたゴールデンフリーザと合わせて、“敵キャラクター大集合”をコンセプトに制作が始動しました。まずはアニメの設定画とマンガを元に、東映アニメーションさんとポージングの相談をします。

完成形の写真とともに、キャラクター再現に対するこだわりをご紹介していきます。イベントで実物を見たことのない方も、まずは完成形の立像のカッコよさに刮目してください!!
※完成直前にお邪魔したため、一部修正中でマスキングテープの補強がされています。

ヒットは、原作でも印象的な“歩き出そうとしている姿”が採用されました。ただポーズを決めるだけではなく、どのような歩き方をすれば殺し屋の凄みを出せるのか、様々な工夫が凝らされています。

例えば、カッコ良くなびくマント。実は、立体的には“嘘”をついていて、実際の縮尺よりも、マントが長めに設定されています！　しかし、裾を長めにした方がマントの動きが大きくなり、正面からは綺麗に見えるのです。違和感を感じさせず、カッコよさを伝えられるバランスを追求して制作されています。

ジレンのこだわりポイントは背中！　　ボディービルダーの背筋を参考にして、美しい筋肉へと仕上がっています。全宇宙最強のパワーを持つ、ジレンの肉体を見事に再現!!

3体の中で最も造形に苦労したのは、細かいパーツが多いゴクウブラックとのこと。指輪やポタラは本体とは異なる素材を使用して作られています。苦労した分、ゴクウブラックが自称する美しさが顔や手などの細部にまで表現されています。

3チームで分担！　立像制作の流れ！

ポーズや造形の方向性が決まったらいよいよ制作スタート！
これらの立像は、大きく分けると①3Ｄデータ＆原型制作、②型取り＆ＦＲＰ成形、③塗装の3チームの分業で制作されています。

①3Ｄデータ＆原型制作

②型取り＆ＦＲＰ成形

③塗装

3体同時進行で制作して、モデリングから塗装までの制作時間は、なんと約1120時間!!　『ドラゴンボール』のアニメが2688話分観られるくらいの時間です。凄い！

後編の記事では、1120時間かけた制作過程を詳しくご紹介していきます。

後編の記事はコチラ!!

【後編】『ドラゴンボール超』の立像制作現場に直撃！
ゴクウブラック・ジレン・ヒットの立像ができるまで!!