映画では「ピッコロ大魔王」や「神様」と呼ばれていたピッコロさん。映画内ではその理由が描かれていませんでしたが、本作に至るまでの物語である原作『ドラゴンボール』のピッコロさんは、“ややこしい過去歴”を辿ってきました。

今回は、映画のピッコロさんの人格が形成されるまでの変遷を振り返っていきたいと思います！

『ドラゴンボール』其之二百六十五

ピッコロさんのルーツは、ナメック星の異常気象により、宇宙船に乗って単身地球に逃げ延びた一人のナメック星人です。その後、成長して一人の武道家となり、神様と大魔王に分離しました。

『ドラゴンボール』其之二百四十四

幼いころに頭を打って自分の名前すら忘れていたため、宇宙船を開く合言葉「違う世界」という意味を持つ「ピッコロ」を名乗っていました。
地球に来た当初、親である“カタッツ”から託された「あとでいくから待っててくれ」という手紙を信じて、20年、30年ものあいだ親を待ち続けましたが、迎えに来ることはありませんでした…。

映画で、文句を言いつつもパンのお迎えに行ってくれたピッコロさんにとって、親が子どもを迎えに行くことは、特別な意味を持っていたのかもしれません。

『ドラゴンボール』其之二百四十四

ちなみに、映画でピッコロさんの家にあった椅子は、最長老やピッコロ大魔王の椅子に似ていますが、宇宙船の椅子にも似ています。かつて宇宙船を家だと認識していたピッコロさんにとって、くつろげる形であったのかも？

“ピッコロ大魔王”としてのピッコロさん

『ドラゴンボール』其之百四十七

“ピッコロ大魔王”は、成長したカタッツの子から追い出された悪の心が成長した存在。そして、ピッコロ大魔王が死の間際に産んだ子どもがピッコロさんです。ピッコロさんは、誰かに教わることも無く、ピッコロ大魔王の意思や記憶を受け継いでいたようです。

『ドラゴンボール』其之百四十八

ピッコロ大魔王は、復活してから数日で世界征服を果たしました。その中で、部下を使っての武道家討伐、敵の動きを利用したドラゴンボール集め、先を見越して神龍を殺すという対策など、効率的かつ大胆な行動をとっていました。

映画のピッコロさんも、レッドリボン軍基地への単独潜入や仲間への協力依頼など、その智将ぶりを発揮していました。その知略と行動力は、ピッコロ大魔王譲りのところもあることでしょう。

“ネイル”としてのピッコロさん

『ドラゴンボール』其之二百九十五

ナメック星で偶然出会い、ピッコロさんと同化した戦士が“ネイル”です。同化しても人格はそのままだと説明しつつも、同化後のピッコロさんが最長老様の死に際して哀悼を捧げていたため、ネイルの人格がその後のピッコロさんに影響していることが伺えます。

『ドラゴンボール』其之二百八十六

ネイルについて特筆したいのは、ピッコロさんを同化に合意させた説得の上手さです。フリーザとの闘いでも、上手く理由付けをして誘導し、時間をかせいでいました。

ネイルと同化する前のピッコロさんは、ベジータ＆ナッパとの闘いの最中に3時間の猶予を与えられても、敵と対話しようとはしていませんでした。しかし映画では、ガンマ2号との戦闘中に説得を試みています。今では、こうした話術を用いる戦法は、ピッコロさんらしい闘い方と言っても過言ではないかもしれません。

“神様”としてのピッコロさん

『ドラゴンボール』其之三百六十

武道家に成長したカタッツの子は、自分の中にある悪の心を追い出して“神様”になりました。長い年月を経た後、ピッコロさんがパワーアップするために神様と融合。今のピッコロさんとなったのです。

『ドラゴンボール』其之百七十四

悟空の師匠は亀仙人ですが、神様の元でも3年間修業をしていました。第23回天下一武道会で人間の身体を借りて出場した神様は、対戦相手のヤムチャにも、闘いの指導をしていました。

ピッコロさんも、かつて悟飯にサバイバルで修業をつけていました。その頃と比べると、映画でパンにトレーニングをつけているピッコロさんは、神様に近い形での教えを説いていたようです。実戦では容赦なく吹っ飛ばしつつも、舞空術は穏やかに分かりやすい言葉で指導していました。

“ただのピッコロ”としてのピッコロさん

『ドラゴンボール』其之三百六十

こうして融合や同化を経て、ピッコロさんは自分が“ピッコロ”であることも否定したことがありました。しかし映画では、ガンマ2号に「ピッコロ大魔王」と呼ばれたときに、ピッコロさんは「残念、オレはただのピッコロだ」と答えています。

本記事では“同化”“融合”などの変遷を紹介しましたが、ほかにも、他者とのかかわりや経験も、ピッコロさんの変化に大きく関わっています。

12月7日(水)の4K ULTRA HD Blu-ray／Blu-ray／DVD発売までの期間、ぜひ原作でピッコロさんの人生を振り返って、映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』で“ただのピッコロ”として活躍する姿を観てください！